HONDA CB400Four NC36
1998年(1997-1998)
2007年、バイクに興味をもった息子のために購入。私の兄弟がこれをもっていたので影響を受けた様子。
2001年に販売終了しているバイクなので中古車を探す。新車価格が579,000円というのに、2007年でもプレミアがついている状態。
履歴のわかる1オーナーバイクを若干新車価格を越えた価格で購入。エンジンの様子があまり好調でない、転倒歴を感じる(マフラーの小さなすりきず、ミラーのゆるさ)、車体番号から元の塗装は赤など、そういうダメだし部分からちょっと高い気もしたけれど、他にこれを超えるものを探せなかったのでこれに決定。名古屋にあった車輌で、実車確認と引き取りと新潟から2往復。
購入後の整備
購入前に感じていたエンジン系を整備しました。稼動していない期間があった中古車なので当然ながらキャブの汚れを予想しました。開けてみると、けっこう汚れていて劣化燃料の跡も確認できました。分解清掃後は正常な4気筒を感じる調子となりました。
現在、オーナーである息子が乗らないので私が管理をしていますが、動かすことを忘れてキャブの閉塞をきたしたことが1度あります(購入時のような状態)。キャブの分解清掃までの手順はCB750Fourより面倒なので、最低でも3ヶ月以上放置することのないようにしています。キャブの燃料きちんと抜けばキャブの問題は解決されますが、バイク全体の稼動部分を良好に保つには、バイク全体を稼動させることが一番だからです。(潤滑油をまわす、ブレーキを動作させる、電気系接点を動作させる)
走行距離が少なく車検的にはタイヤ交換の必要はないのですが、1998年からのタイヤは硬化を感じ、2021年に前後とも交換しました。
CB400Four(NC36)について
1997年にCB400SF(NC31)をベースにCB750Fourをオマージュして作られた今風にいえばネオレトロなバイクです。
CB400Fourの元になったCB400SFは、1992年に登場し、1999年に排気ガス規制対応して新しくなり(ここでCB400Fourは終了)、
2021年現時継続している長寿バイクです。
CB750Fourオマージュというと、簡単なやっつけ仕事かと思うところですが否、CB750Fourの質感を上回るできのバイクとなっています。1997年にこれを企画した人の思い入れはたいしたものだと思います。ホンダの公式ページのファクトブックにもページがあるくらいです。
CB750Fourと長い間つきあってきた私から見ても乗っても、これはいい造りのバイクだなと感じます。そこでこんなページも起こしました。
4本排気管
CB750Fourオマージュの象徴的な部分です。CB750Fourは4本排気管で登場し、その音を印象づけたのでCB750Fourオマージュには4本排気管以外の選択はありません。
CB400Fourの排気音は、CB750Fourと似た4本排気管ならではの音になっています。最終減速比がCB750Fourより高いので、ややエンジンの常用回転域が高回転となり、せわしい感じがするところが残念です。5速60Kmh走行で約4000rpmとなりますが、CB750Fourの5速100Kmh走行のときの回転数とほぼ同じです。400ccでトルクが細くなることからの設定だと思いますが、60Kmhを3000rpmくらいで巡航するトルクは十分ありますのでそのくらいの設定だったら落ち着いた巡航ができてよかったのにと感じます。
3000rpmでの巡航音、3500〜4500rpmの加速音、CB750Fourそっくりの音質実に楽しいのですが、音で感じて速度計を見ると速度が低くて「何がんばってるの〜?」と笑ってしまいます。
4気筒エンジンの排気管は集合して吸出し効果を上げることが性能的にはよいのかもしれませんが、市販車においては見た目や、排気音の違いのほうが重要かと感じます。左右対称をよしとすれば2本。4本排気の音質を求めれば4本です。
CB400FourのマフラーはCB750Fourの通称モナカマフラーより高品質で立派なものです。重量もあります。重いことがデメリットのように表現されることがありますが、下に位置するマフラーの重量により走行安定性というメリットが得られます。軽快な操作性を望むかしっとり重くて安定性を望むかはユーザーの選択です。CB400Fourは、400らしからぬ安定感で私には好感です。
シリンダーフィン
CB400Fourは水冷ですが、シリンダーフィンが造形されています。CB750Fourは空冷でしたからその雰囲気を出すための造形でしょう。昔のバイクは空冷が多かったですし、エンジンのフィンは見た目も美しいです。見た目や雰囲気を重視して、必要なくともデザインするという発想が目に嬉しい外観を生んでいます。空冷エンジンにオイルクーラーをつけたようにも見える外観です。
金属パーツ
最近のバイクは樹脂パーツが多いですが、レトロテイストとしては金属パーツやメッキパーツは雰囲気づくりに大切と思います。
フロントフェンダー
リヤフェンダー、テールライトステー
ライトケース
ライトケースが金属でメッキというのは1970年代バイクでもそうはありません。CB750Fourも樹脂製でボディカラーや黒塗装でした。
また、ヘッドライトステーは、
アルミブロックのしっかりとしたパーツです。このようなパーツが随所に使われています。
トップブリッジ
トップブリッジまわりもアルミブロックで丁寧に作られています。HONDAウィングの刻印もされています。
フットレスト取り付け具
熱いマフラーにブーツがあたらない気配りが形にされています。ここもアルミブロック。
荷掛けフックステー
この部分までアルミブロックで仕上げられています。
CB400Fourの金属パーツを紹介しました。アルミブロックパーツにいたってはCB750Fourにもない、コストをかけたつくりです。
スポークホイール
フロント
リヤ
ネオレトロ系のCB400Fourは、当然のようにスポークホイールを採用しています。この作りがまた手が込んでいます。
写真のようにアルミパーツが磨きあげられています。CB750Fourも脱帽です
エンブレム
タンク
サイドカバー
CB400Fourのタンクやサイドカバーのロゴはステッカーでなくエンブレムです。
左サイドカバーは鍵式で内側に小さな収納ボックスがあり、カッパくらいは押し込める親切設計です。
現代的な操作性
ネオレトロ系で大切なことは、雰囲気がレトロであっても操作性や基本的な性能が現代的に確保されていることです。
整備に時間がかかってしまったり、オーナーの慣れが要求されるような部分があってはいけません。
CB400Fourは雰囲気はレトロですが基本的な性能や操作性は現代のバイクです。そこがまたよいです。
ヘッドライト、ウィンカー
ヘッドライトは、H4ハロゲンの二輪用レンズカットのライトです。最近の車検でもアイドリング状態で簡単に
15,000カンデラを超えて(エンジン回転を上げると20,000カンデラくらいまで上昇)パスできます。
ウインカーは、私は小さいと思います。小さいのがレトロ系というのは勘違いです。保安器は目立つようにある程度大きいほうがよいと考えます。CB750Fourくらいの大きさは必要です。
右ハンドルまわり
CB750Fourに無いハザードスイッチがついています。セルモータースイッチとキルスイッチは同じ感じ。セルモータースイッチはCB750Fourの小さいボタンからみるとしっかりとしています。グリップエンドがしっかりして転倒時のダメージ軽減を考えているところもCB750Fourにはない工夫です。そこもメッキがかかっています。
左ハンドルまわり
ディマースイッチ、ウィンカースイッチ、ホーンスイッチ、チョークレバー、最近のホンダの一般的な形です。
メーター、タンクまわり
タンクキャップは最近のしっかりとしたもの。CB400Fourには燃料計も備わっています。
減ってきたときの表示がおおざっぱであまり信用できませんが。他のバイク同様、燃料コックに予備位置もあるので表示がおおざっぱでも大丈夫です。
メーターは質感のよいアナログメーターです。積算計、トリップメーター、燃料計が液晶表示。時計が無いのが残念。
速度計はドライブギヤボックス取り出しのため、低回転巡航重視方向で歯数の少ないドリブンスプロケットになどという変更が簡単ではありません。それにより速度計表示が変わってしまいます。それでは40Kmhを認識させる車検の速度検査もパスできません。
シート
CB750Fourと少し似た表皮。最近ホンダと違っていいのはウレタンが柔らかいこと。最近のホンダはどの機種も同じ表皮、
ウレタンのように感じます。そして硬いです。お尻が痛くなります。CB400Fourは少し柔らかくいい感じです。
ライディングポジションがやや前傾なので、アップライトなCB750Fourより長時間乗車は疲れます。
アップライトが一番楽なんですけどそこは残念。
ダメだし
@ 最終減速比が高すぎる
4000rpmで60Kmhはせわしい、せめてアクティトラック並に3000rpmで60Kmhくらいに。
A 保安器が小さい
ウィンカーやストップランプはCB750Four程度には大きく。最近のバイクはみな保安器が小さいですが、
ユーザーがカスタムするならともかく、メーカーの標準装備としてすることではない。保安器は目立つのが役目。
B ライディングポジションがやや前傾で長時間走行では疲れる
CB750Fourのようなアップライトなライディングポジションが疲れない
C 時計が欲しい
せっかくメーターに液晶表示部分があるのだから時計は欲しかった。
D 燃料タンク容量がもう少し欲しい
容量は15L、燃費が21〜22Km/L、ちょっとツーリングには心もとないこともある。
CB750RC42並に20LとはいかなくてもCB750Four並の17Lくらいは欲しかった。
E フロントタイヤが大きい?
110/80-18 58Hはちょっと大きい気がします。またこのサイズはタイヤ種類も少ない。
110/80-17 57Hくらいでよかったのではと感じる
容量は15L、燃費が21〜22Km/L、ちょっとツーリングには心もとないこともある。
CB750RC42並に20LとはいかなくてもCB750Four並の17Lくらいは欲しかった。
総評
いいバイクです。ホンダ純正で4本排気管を備えるのは1970年代のCB750/500/350/550とこれしかありません。
かつこのバイクは1997年登場、現代的な操作性と安定性をもっています。このまま今登場しても、
ネオレトロなバイクとして存在感をもつでしょう。
2021年Yahooのバイク関係の検索語句第5位が「NC36」なんだとか。CB750Fourもそうですが、
中古車価格高騰はしょうもない中古車を生み出す元ともなります。
CB400Four(1974年)を紹介
モーターサイクリスト 1975年2月号より
CB350Fourのエンジンを408ccに増やし、カフェレーサー風にアレンジして発売されたものです。
4気筒の集合排気管はホンダとして始めてのものでした。他にも、シート下に設定されていたメインキーを
メーター部分に設定したこと、6速ミッションを採用したことが、ホンダとしては初めてでした。
1975年10月からバイクの免許制度が変わることとなり、401cc以上の大型自動二輪は、教習所では取り扱わず、
教習所では400ccまで中型自動二輪限定免許まで取り扱いとなりました。大型免許は中型限定取得後、
免許試験場での限定解除実技試験の合格が必要となりました。
CB750によって開拓された国内大型バイク市場でしたが、当時はバイクユーザーのメインは今と違って若者でした
(18才で四輪免許をとるまでの足として)。大型バイクによる暴走行為、死亡事故といった社会問題も出てきた結果、
国内販売のバイクは750cc以下というメーカー自主規制ができていました。
また、年齢的に通学にバイクが使える高校では、高校生にバイク免許をとらせない、バイクを買わせない、バイクを運転させない、などの運動もでてきました。
それにこの免許制度の改正です。国内での大型バイク市場は完全に冷え込んでしまいます。
高校生が通学にバイクを使えなくなったことは小型バイクの市場を冷え込ませました。
バイクにとっては暗黒の時代の到来がやってきたといってよいでしょう。
750cc自主規制は1988年に、大型自動二輪免許の限定解除は1996年に、
それぞれ海外からの貿易不均衡原因としてのクレームにより撤廃されます。黒船が来ないと眠りから覚めない日本的な部分です。
高校生のバイク3無い運動も短絡的な教育ということで次第に改善されてきます。
前置きが長くなりましたが、そんな免許制度改正年に発表されたCB400Fourは、
免許制度に合わせた398ccの中型限定免許版を追加します。低いハンドルのtypeI、通常ハンドルのtypeIIです。同じCB400Fourで3タイプのラインナップとなりました。(CB400Four=408cc,CB400FourTypeI=398cc,CB400FourTypeII=398cc)