5000円で買える
nero Video 2019の使い方
【例】2カメラ・1ステレオ音声での演奏会記録動画の編集

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neroはWindows95の頃、ディスク関係のツールとしてよく知られているブランドでした。いくつかのツールをセットしていて、動画ツールも入っていました。画質劣化少なくレンダリング&エンコードできる優秀なものでした。趣味的な用途では、高価な AppleのFinal Cut Proや、AdobeのPremiere などを買う必要もなく作業できるものでした。
その後、安く買える各種動画編集ソフトがいくつか出てきたせいか今はマイナーになっています。動画編集ソフトを検索してもneroはヒットしないくらいです。しかし、久しぶりに使ってみると、なかなかよいものでした。インターフェイスがあまり進化していない感があったり、機能的にやや足りないところもありますが、5,000円でちゃんとした動画編集ができてディスクまで作れるソフトはそうはありません。Movie Maker非搭載となったWindows10用の動画編集ツールとしても買いやすいです。機能的にはMovie Makerとは比べ物にならず優れています。
マイナーなソフトとなったせいか、説明サイトも殆どありません。それではと、紹介記事を書くことにしました。例として、簡単な演奏会記録をとりあげます。曲の進行に合わせて演奏者を狙うカメラを1台、場面切り替えのつなぎとしても使う全景カメラを1台、録音機1台を使い、3つのデータラインを編集でまとめていくといものです。カメラ音声は使い物になりませんが、各データの同期をとるときにカメラ音声があると同期しやすいのでカメラでも音声は記録しておきます。(編集出力解像度が1920*1080のFHDなので、カメラの解像度もFHD1920*1080にしておくと、入出力の解像度が合って処理が早いです。)

image 起動画面
起動すると、Home画面となります。
ムービー作成(拡張編集)を選びます。
image 拡張編集画面
いわゆるタイムライン編集画面です。
この後、編集設定をして、データを読み込みます。
image オプション
ムービーオプション


編集解像度を設定します。
ハイビジョン(Blu-ray)解像度は
1920*1080
HDTVフルHD

旧テレビ(DVD)解像度は
720*480
TVワイドスクリーン
image ファイルインポート
データファイルを読み込みます。
ここでは、映像2本、音声1本です。
実際はもっと多くなると思います。
image データセット
ファイルを読み込むと、動画は「ビデオ」、録音は「オーディオ」に分類されます。
それらを、タイムラインの編集トラックに配置します。
重なったタイムライン部分では、上のトラックが上のレイヤーとなり優先表示されます(透明設定で下のレイヤーも表示可)。
image トラック追加
今回は、ビデオ2:全景映像データ、ビデオ1:フリー撮影カメラデータ、ミュージック:録音データと、配置しました。 録音など音声データは、映像なしのビデオデータとして、ビデオトラックのオーディオトラックに配置もできます。
トラックを増やす必要があるときは、右クリックメニューから追加できます。
image トラック表示設定
@トラックを広く表示して詳細表示が見えるようにします。
A▼マークをクリックして詳細表示を表示します。
Bトラックの有効/無効スイッチ。時間合わせ後の音声を無効化するなどで使います。
Cトラックプロパティ表示。ビデオデータの透明度設定などを表示します。
image 編集インターフェイス
私がよく使う場所をマークしました。
画像をクリックすると拡大表示されます。

(この状態は、時刻合わせが終わり、前・中・後ろを抜いて、頭そろえ、曲間抜き、終端そろえを始めようかというあたりです。)
image トラックの時刻同期
・音声波形を見てトラックを移動し、だいたいの同期をとります。
・トラックの時間目盛を細かくしていき、精密に同期をとります。
・トラック有効/無効スイッチで切り替えつつ、最終的には耳で聞きながら、時間目盛の位置を確認しながら同期をとっていきます。この時音声スクラブ機能があると便利ですがneroはありません。
・全トラックの同期をとります。私は連続で録音した録音データにビデオデータを合わせていくことが殆どです。
image プロジェクトの保存
各トラックの時刻同期作業は、けっこう大変ですから、やり直すのは疲れます。ここらで一旦プロジェクトを保存して一休みしましょう。
後は動画を見ながら、好みのカメラ映像に切り替えをしながら、1本の動画ファイルを作る楽しい作業となります。
image 各トラックの頭そろえ
時刻同期の終わったトラックを、切りそろえ、全体をスタート位置へ移動してそろえます。
後ろにたくさんの動画データがあるときは、全体を選択して移動します。
ずれると、ずれた動画クリップ部分の時刻同期作業が必要になります。
ずれのないところでプロジェクトを保存しておくことが大切になります。

image 音量調節
音声トラックの編集するクリップを選択しておいてプロパティを表示します。
選択したクリップの音量を設定できます。
キーフレームボタンをチェックしておくと、編集カーソル位置ごとに音量を設定でき、キーフレーム間をマウスでグラフィカルに調節できます。これにより音量のフェードイン/アウトが編集できます。
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不透明度調節
映像トラックの編集するクリップを選択しておいてプロパティを表示します。
選択したクリップごとの不透明度を設定できます。
上のビデオトラックを不透明0%(透明)にすると、下のトラック(100%の場合)が現れてきます。
音量調節と同じようにキーフレームが使えます。しかし、音量のようにキーフレーム間の不透明度をマウスでグラフィカルに調節することはできないので慣れが必要です(PowerDirector、Premiereなどはできます)。
代わりにキーフレーム間の変化具合を3つから選びます。
この機能は、演奏会記録編集にはとても大切です。使いたいカメラの不透明度を100にし、使わないカメラの不透明度を0にすることで、カメラ映像をタイムラインで選択できるからです。
暗点からのフェードインや暗点へのフェードアウトもこの機能を使います。
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編集〜終端そろえ
@カット〜隙間詰め
演奏会記録では、休憩時間をカットして詰めるなどするカット作業もでます。
カット開始位置にカーソルを置きカット、カット終了位置にカーソルを置きカット、挟まれた部分をを削除、残りの後ろのクリップを詰める、という手順になります。
トラックが複数の場合、同じ位置でカットすることと、詰めるときに同期ずれしないように注意します。CTRLキーを押して選択すると、複数選択できます。
( 透明にして使っていない部分は、フェードイン/アウトで重なる時間帯をのぞいてカットしたほうがエクスポート時間が早いようです。)

A終端そろえ
編集が終了したら、終端揃え(カットなど)して、プロジェクトを保存します。プロジェクトを保存してあれば、次の動画保存やディスクオーサリングはプロジェクト読み込みからも継続できます。

ここではこの後、動画書き出しの「エクスポート」へすすみます。
すぐにディスクを作る作業にすすむ場合は、「次へ」へすすみディスクオーサリングを始めます。
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キャプション
曲名など映像にキャプションを入れます。映像トラックを使うので、トラックが足りない場合は追加してから作業します。
エフェクトパレットのテキスト-固定テキストを選択し、タイムラインにドラッグアンドドロップしてセットします。その後、文字編集や、位置、表示時間などを編集します。
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動画書き出し
「エクスポート」ボタンから、各種動画形式にレンダリング保存します。
プロジェクトを保存してあれば、Home画面からもすすめます。
ハイビジョン画質系で1920*1080、スタンダード画質系で720*480の解像度が標準です。
最初のムービーオプション設定での解像度以上の場合は拡大ボケします。
ネットで定番となってきているMPEG4(AVC/H264)は、フォーマットをMP4でなくAVCを選択し、プロファイルを解像度にあわせます。(720*480/AVC,1280*720/Youtube Standard HD,1920*1080/Youtube Best HD)

image ディスク用オーサリング
Blu-ray/DVD再生機用のBlu-ray/DVDディスクを作る作業です。
編集画面から「次へ」ボタン、またはHome画面からメニュー選択で進みます。
Blu-ray、DVDともに同じ手順ですのでBlu-rayとしてすすめます。
image チャプター設定
再生機での頭出しや、メニュー設定に必要なチャプターをつけます。
つけなくてもよいですが、頭出しや早送りがしやすいので、時間の長い動画は何分刻みなどつけるのがベターです。
演奏会記録では、曲の頭の少し前などに設定しています。だらだら長い動画は2分刻みなどです。
image メインメニュー
頭出し用のメニューです。チャプターをつけてあれば、そこに自動でメニューが入ります
私は、チャプターだけつけて、メニューをつけないことも多いです。チャプターがあれば、曲の頭出しはチャプター送りでできるからです。
こちらはメインメニュー設定画面です。
image チャプターメニュー
メインメニュー設定に続いてこちらはチャプターメニュー設定画面
image ディスクプレビュー
ディスクデータ書き出しの前にディスクの動作をプレビューできます。
image ディスクデータ書き出し
ディスクドライブを選択すれば、すぐにディスクを焼くことができます。
私の場合、ここではディスク書き出ししません。ハードディスクフォルダにデータを書き出します(Premiereはこれができません)。 その後、ディスクにフォルダデータを必要枚数コピーします。そうしないとディスクコピー毎にレンダリング&オーサリング時間が必要になるからです。
その他詳しい説明はマニュアルがダウンロードできましたNero Video Manual(2018年版)

Windows10にMovie Makerが添付されなくなったので、よいツールがないかと探していました。
フリーでは、Avidemuxや、AviUtl などががありますが、インターフェイスはお手軽ではない印象です。サポート終了前にダウンロードしたWindows Essentials 2012などがあればWindows10にもインストールできますが、これもお手軽ではありませんし、いわゆる動画編集に使うにはできないことが多すぎます。
市販ソフトの無料版は、期間限定や制限が多くて使い物になりません。nero videoも同様にお試し版では使い物になりません。製品版が4500〜5000円で手軽な価格だったので、ダメモトでもよいかと製品版を買って試すことができたというわけです。1万5千円くらいの予算があれば、CyberLink PowerDirector がおすすめです。