楽譜記号[1](5級)での例
step1...音階をあがる
(1) 上げるにつれ
@ 息の出口周辺を広げないよう、小さくするような、緊張を保つ
A 口の中を広げないよう、よい形状を保つ
B 息のスピードを上げるため、腹圧を高める(出口が小さくなると返り圧が高くなるので)
(2) 音階頂点をつかめたら、そのまま持続する。4〜8秒持続できればOK
※ 音が上がるにつれ腹圧が必要になりますが、唇の緊張、口の中の形状保持が連動しない場合、音量が上がるだけで、音が上がらないということになります。「音が上がるにつれて音を小さくするイメージで」とアドバイスすることもありますが、こう言うと大切な腹圧を下げてしまう人も多いです。唇の緊張、口の中の形状、腹圧の三者の連携がコツで大切です。「腹圧上げつつ、息の出口を広げないよう緊張していく」コツを反復練習からつかみます。
口の中は広いほうが豊かな響きになります。出口が広いほうが大きな音が出ます。それは、自分として上の音を獲得してから徐々にトレーニングしていきます。まずは発音域を確保します。小さな音、響きの少ない音からでよいです。
step2...音階を上がり、楽器をつけたまま息をとめ、再アタックして音階を下る。
最高音での体の状態「Tの@〜B」を記憶して音を止める。その準備をして発音し下りる。
step3...音階を上がり、楽器を放し4〜8秒待って、楽器をセットし、音階を下る。<
最高音での体の状態「Tの@〜B」を記憶して楽器を放す。楽器をセットしたら、発音する前に最高音での体の状態「Tの@〜B」を準備・再現した後、発音し下り始める。
楽器を放す時間があるわけですが、最高音の体の様子「Tの@〜B」を記憶から準備し、頂点の音を外さずスタートし、下っていくことが最も大切なポイントです。
step4...音階を下って上がる
音階の頂点からスタートします。日々の反復練習により、頂点の体の様子「Tの@ 〜 B」
が記憶・再現されなければなりません。無の状態から正しく発音するスキルが求められます。
step4をクリアできれば、曲中でその音のアタックする確実な自信ももてます。
step1, step2, step3 の例を楽譜記号[13](1級)で示した動画 (車の後部座席が私の練習室です)
W 個人差
・ step4が確保できている音階は、step4を日課とするだけでよいです。
・ step4が確保できていない音階は、step3から日課としましょう。
・ step3が確保できていない音階は、step2から日課としましょう。
・ step2が確保できていない音階は、step1から日課としましょう。
X 発音レベル
楽譜の音階に「級」を示しました。アマチュアでTrumpetを楽しむ場合、HiB♭まで安定確保されれば、殆どの吹奏楽曲などを楽しむことができると思います。そこを1級として5段階に級分けしています。判定はstep3の段階でよしとしています。step4の「いきなりその音から発音して下る」ができれば最高です。
Y 日課
音域を広げたい状態にある人、獲得している音域をキープしたい状態にある人、どちらも日課が大切(必要)と思います。
柔軟性のスキルと似ていると思います。私はできませんが、180度開脚を1級レベルとしたら、体操初心者は日々広げる日課をしなければそこに到達しないでしょう。到達した選手レベルの人も日々の日課を怠ればまた硬くなって柔軟性は落ちていくでしょう。音域確保も音域キープも日課が大切と思います。初心者はスキルアップのために。経験者はスキル維持のために。
1級レベルの日課の様子を動画で示します。参考になればと思います。楽器をケースから出したばかりの状態から、正直に記録しています。発音ミスや、フィンガリングミスもそのままです。これでだいたい3分です。1日3分でも発音スキル維持に効果がありと実感しています。アマチュアで吹奏楽を楽しんだりすることが多い私です。吹奏楽曲のTrumpetパートの場合、木管楽器パートのように細かい音符は殆どありません。音が出るように準備しておけば、数回練習すればつかめるものが殆どです。しかし、気持ちよく音が出る状態を作ったりキープしたりするのが難しいです。
Z Trumpet経験者の都市伝説?
・バズィング
バランスのよいアパチュア周辺の緊張を確認するために、何の支えもないバズィングはよい確認方法です。しかし、時間かけて特化しなくてよいでしょう。
・マウスピース吹き
マウスピースで音階など音高コントロールができれば、楽器でもコントロールできます。楽器の空気抵抗があるほうが振動させ易いので、これも初心者が特化して時間をかけて練習しなくてもよいでしょう。
スキルアップの段階で、楽器倍音を使ったリップスラー練習の段階に入ったとき、楽器をつけた状態でうまく感覚がつかめない場合(楽器状態では倍音まで振動変化が必要なので)、感覚をつかむために、マウスピース吹きをするとよいでしょう。
ある程度楽器が吹けるスキルのある人が、音高操作の確実性の確認でマウスピース吹きする場面はあります。
・リップスラー
リップスラーは、金管楽器の演奏に必要な操作です。チューニングB♭(ド)の上のD(ミ)が出るようになったころから、いろいろなパターンで練習するとよいです。
リップスラーの操作で、音を上げたり下げたりするきっかけをつかむのはよい練習です。初心者はリップスラーで音域を広げようとするより、音階を使って徐々に音域を確保していくほうが発音のコツをつかみやすいように感じます。
スラーで高音側に上がってそこで満足する場合があります。スラーで高音に上がるのは唇振動が継続的に変化するので出しやすいです。高音に上がれるようになったら、高音側からしっかり発音し、しばらくそれをキープして下がるスラーも取り入れます。
音のアタックを確実にするためには、タンギングして発音(0発進というか、無振動から決まった振動を発生させる)できるようにすることが大切だからです。
・ウォームアップ
合奏前のウォームアップ、時間をかける人いれば、かけない人もいます。私はあまりかけません。演奏スキルが低いからです。ひょろひょろと、1分も唇振動させれば十分です。寒いときは楽器が温まる程度すれば十分です。
同じく筋肉を使うスポーツで考えましょう。オリンピックレベルの短距離選手(瞬発系)、長距離選手(持久系)、ウォームアップは素人なら疲れてしまうようなアップです。楽器も同じかなあと私は感じています。プロの高音ヒッター(瞬発系?)、ソロ奏者(持久系)、いずれも素人の私とはレベルが違いすぎます。素人に過度なウォームアップはいらないでしょう。
・高音
上級者は、Trumpetの高音は、HiB♭からダブルHiB♭くらいまでをいうようです。通常音域の最高音とされるHiB♭は、高音の入り口、中音域の上という位置付です。
私は中級レベルなので、G(ラ)あたりから高音を意識します。私のように趣味で吹奏楽合奏を中心に活動していると、曲の中でHiB♭周辺の音域が出てくることは多くありません。その結果、その音域を発音しようとする行為も多くなりません。その結果、その音域の発音が難しかったり、苦手になったりするようです。
自分から意識して、発音する行為の積み重ねが、コツをつかむと同時に慣れを生みます。音階を日課とする利点はここにもあります。毎日、全ての音域の発音行為を実行するからです。
[ 終わりに
私は本当に下手で要領の悪いTrumpet吹きでした(です)。それでも3オクターブくらい音域を確保して、吹奏楽などの合奏を楽しんでいます。
下手な私くらいでよければ、「誰でも私くらいにはなれるし、私を超える」と、確実に言えます。お互い、細く長くTrumpetを楽しみましょう。