冬晴れを走る
〜鉛色の空の日本海側を抜け、太平洋側の青空の下へ〜

2006/12



決断
 東京に住んでいる頃は、冬になると、東海・紀伊・瀬戸内と冬晴れツーリングを楽しんでいました。
 冠雪した富士など、冬のほうが美しいと感じたものでした。冬といっても、日中は10度を越えることが多いですし、伊豆、静岡までいけば15度くらいのこともあり、新潟の春の感覚で走れるのです。ある程度の防寒装備をしていれば、伊豆・東海は快適にツーリングが楽しめます。
 そんなわけで、むしょうに冬晴れの下を走りたくなり、年末休み、道路除雪と降雪予報の様子をみながら新潟を抜け出すことにしました。
出発
 今年は、すごい暖冬のようです。この時期、私の家のまわりには積雪がほとんどありません。予報でも雪の心配はなさそうです。無事、降雪にあわず行って帰ってこれるといいのですが。帰りに降ってしまって、群馬あたりでストップでは洒落になりません。
 とはいえ新潟は冷たい雨が強く降っていました。いつもの通勤スタイルより1ランク上げた防寒装備でスタート。湯沢辺りから気温が下がり、雪もいくらかありで、ハンドルカバーをしていても手が冷えてきて、体も冷えてきて...う〜ん防寒レベルもう一段アップしないとつらいかなあと不安になりつつ関越トンネル突入。トンネルはいくらか暖か。
トンネルを抜けると春
 「トンネルを抜けると、そこは春であった。」 関越トンネルを抜けて群馬側に出ると、川端康成の「雪国」の全く反対の世界でありました。
 少し時間を戻して、トンネルの中間を過ぎると、向かってくる風がほんんのり暖かい。群馬側は晴れている予感。トンネルを出ると、「うわっ、眩しい。あったけー。」...トンネルを出ると春が来ていました。防寒レベルを上げるどころか、新潟側を走る防寒レベルの装備では、体がどんどん温まってきます。標高の高い水上を降り、前橋あたりまでくると、新潟の4月なみの暖かさ。超快適なツーリング日和です。
富士も見える
 雪も無く、寒さもなければ、CBで新潟から東京は隣町感覚です。ほどなく、東京着。川崎の友人宅へ届け物に向かうときには多摩川の向こう夕日の西空にくっきりとした台形が見えました。富士山です。これは明日は富士を拝みに行くしかないです。伊豆もちょいとふらふらしましょう。冬晴れの関東を走るなんて何年ぶりだろう。友人のところへ届け物をして、世田谷の息子の下宿へ。明日が楽しみ。
 息子の下宿を6時すぎに出発。新潟モードの防寒装備のため早朝の風が気持ちよい。新潟的感覚では12月とは思えない。3月〜4月を走る感覚である。だいいち天気がいい。新潟は鉛色の空がこの時期おきまりである。
 今日は午後には帰るので、昔のちょい乗りコースを走る。今回は、第三京浜、横浜新道、西湘バイパスのおきまりコースでなく、東名、小田原厚木で少し時間をかせぐことに。
 小田原厚木で朝焼の富士をおがむ。この辺りの人にはめずらしくもない景色だろうけど、私には懐かしさと、目新しさで、やたら嬉しい。富士はやっぱ雪のある冬か春がいいし、晴天率は冬が高い。
日の出
 朝焼の富士の写真を撮っていたら、ちょっど反対側から御来光。時刻はちょうど7時くらい。これだけでもちょい乗りに出たかいがあったくらい満足する。
西湘パーキング
 とりあえず、バイクな人にどれくらい会えるかと、西湘パーキングへ寄ってみる。さすがにこの時刻で冬ということもあるのか少ない。暖かいせいもあるけど、軽装な人が多い。小生のようにハンドルカバーまでつけた防寒装備な人はいなかった。私も若い時は、下はジーパンだけで走っていたこともあった。今は少しの寒さもこたえるから、装備はわりとしっかりしている。(といっても通勤の防寒カッパスタイルである) 駐車場にいた人に撮ってもらった。
箱根
 私は、特に新潟に来てからは富士山コンプレックスなので、年に一度は見ておきたいと思う。五月のツーリングでは天気に恵まれずふられてしまった。今回は、ご覧の通りである。
 西湘バイパスから、ターンパイクで大観山へ上がり、芦ノ湖方向に下りて1国に合流、三島に向う。
 ターンパイクの上のほうは、気温は0度。路面は霜が凍結しているところもあり。凍結防止剤はあまりまいてないみたいだった。その後の国道はまいてあった。気温は低いが晴れているせいか、きのうの雨中走行より格段に冷えは少ない。濡れて、風を切るのはずいぶんと熱がうばわれるのかもしれない。
 三島に下りるころには、この装備では、もうぽかぽかである。暑いと感じる。
 現在の防寒装備...蓄熱下着上下、スキー用アンダーシャツ、セーター、ウインドブレーカー、プチプチ活用インナー(下)、防寒カッパ(キャップ着用(後ろ襟や首筋のウインドプロテクション))、ウインドスクリーン、ハンドルカバー
 予備装備...蓄熱グローブインナー、蓄熱フェイスマスク、防寒ソックス、防寒アンダーウェア(上下)、防寒グローブ、ホッカイロ(靴底用、ハンドルカバー用、その他汎用)
 氷点下にはなっていないし、降ってもいないので予備装備を使うことはなさそうだ。備えあれば憂い無し。
三島-裾野
 三島から裾野へ。この辺の人にとっちゃ日常の景色だろうけど、私にとっては、「日本の富士」である。ごくふつうに、ぽかっと、道から見える富士がけっこう好きである。
R246
 まだ時間に余裕があるので、とりあえずR246で戻ることにする。しかし、いい陽気だ。暖かい。しかし、バイクは少ない。私は昔は、冬はきまって、伊豆・東海、瀬戸内と走っていた。きらきらの冬晴れの中を走るのは大好きだった。
 新潟の雨雪の天気とは天と地である。あの、きのうの新潟の雨・雪と寒さ、鉛色の空...新潟に帰るのがいやになってしまう。
ヤビツ峠
 そう道草もしていられないが、懐かしくてヤビツ峠にかけあがった。昔は砂利道だったが、今はすっかり舗装されてCBのほうが楽しく走れる。道は細いところが多いままだけど。舗装されたせいか、マウンテンバイクな方々が何人も走っておられた。人力でかけあがろうとする気力と体力に脱帽である。丹沢方面も行きたかったけど、今日は時間がない。
帰路
 11時過ぎに息子の下宿に帰着。半日の冬晴れちょい乗りツーリングを満喫。午後1時頃、新潟向け帰路に。途中、高坂SAでVTR250な方と会う。
冬晴れともお別れ
 前橋を過ぎると、きのうとは逆に少しずつ冷えてくる。暖かくなるのは嬉しいが、冷えてくるのはあまり気持ちよくない。赤城高原あたりでは気温は5度くらいに。正面の山々には、山々でせきとめられている雪雲が顔をのぞかせている。山がなければ、新潟の気候も関東の気候も違うのだろう。
 谷川PAではとうとう気温が0度に。おまけに「雪」の表示。「ええっー?天気はよんできたんだけどなあ、チェーン規制は出てないみたいだから、凍結と、雪を気をつけてとろとろいけば帰れないこともないだろう。」と、一抹の不安を抱きつつ関越トンネル突入。
新潟へ戻る
 関越トンネル出口手前で十分減速し、おそるおそる抜けてみると、たいしたことはない。降ったのは何時間か前で除雪されていて凍結もなさそうである。これならいける。しかし、体はがんがん冷えてくる。ハンドルカバーをしているのに手が冷たくなってくる。これは風によるものではない。ゴアテックスグローブの中が湿ってきて(濡れないのも蒸れないのも宣伝だけ...手袋が冷やているので水蒸気として抜ける前に水になってしまうようである) 水分が手の熱を奪うからである。パーキングでインナーグローブを着用、これで手には水分がつかなくなる。こんどは手もほかほか。鉛色の空の下を走って、無事4時頃帰宅。関東の空と新潟の空は違うなあ...最後の写真は3時頃である。同じ時刻のきのうの群馬側の写真と比べてみてほしい。

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